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小学校で実践!「音」からはじめるSTEAM教育:科学、音楽、ものづくりを繋ぐ授業例

Tags: STEAM教育, 小学校, 授業実践, 音, 教科連携

「音」をテーマにしたSTEAM教育の可能性

小学校の教育活動において、子どもたちの探究心や創造性を育むSTEAM教育への関心が高まっています。多様なテーマが考えられるSTEAM教育の中でも、「音」は子どもたちにとって非常に身近でありながら、科学、技術、工学、芸術、数学といった様々な要素と深く結びつくテーマです。音を切り口にすることで、異なる教科の学びを横断的に捉え、体験を通して理解を深める実践が可能になります。

この記事では、「音」をテーマにしたSTEAM教育を小学校でどのように実践できるのか、具体的な授業アイデアや教科連携のヒントをご紹介します。

なぜ「音」がSTEAM教育に適しているのか

「音」は、耳で聞くという感覚的な体験を通して、子どもたちの興味を引きつけやすいテーマです。同時に、音の発生、伝わり方、高さや大きさ、音色の違いといった物理的な性質(科学)や、楽器の構造(工学)、音を録音・再生・加工する技術(技術)、音楽的な表現やサウンドデザイン(芸術)、周波数や波形といった数値的な側面(数学)など、多角的な視点から探究することができます。

さらに、「音」はコミュニケーションや表現の手段としても重要であり、国語や図画工作といった教科との連携も自然に行えます。身近な素材からデジタルツールまで、様々なアプローチが可能である点も、小学校での導入に適している理由の一つです。

「音」をテーマにしたSTEAM教育の実践ステップとアイデア

「音」をテーマにしたSTEAM教育は、子どもたちが「音ってなんだろう?」「どうしてこんな音がするのかな?」といった素朴な疑問から出発し、探究を深めていくプロセスを重視します。以下に、実践のステップと具体的な授業アイデア例を示します。

ステップ1:身近な「音」に気づき、探究の出発点を見つける

授業の冒頭で、教室や学校の中、あるいは家の中で聞こえる様々な音に意識を向ける活動を取り入れます。「どんな音が聞こえますか?」「その音はどこから聞こえるでしょう?」といった問いかけから始め、音の種類や発生源に関心を持たせます。

ステップ2:音の性質を科学的に探究する

音がどのように発生し、どのように伝わるのか、高さや大きさの違いはなぜ生まれるのかといった、音の物理的な性質について実験を通して探究します。

ステップ3:音を作り出す・形にする(工学、芸術、技術)

音の性質を理解した上で、自分で音を作り出す活動を行います。身近な素材で楽器を製作したり、デジタルツールを使って音を合成したりする活動が含まれます。

ステップ4:音を使って表現する・伝える(芸術、技術、国語)

作った音や集めた音を使い、物語やメッセージを表現する活動です。音の組み合わせや順序、強弱などを工夫することで、聞き手に何かを伝える体験をします。

ステップ5:音を計測・分析する(数学、技術)

音の高さや大きさを数値的に捉えたり、音の波形を視覚化したりする活動です。音の物理的な側面をより深く理解することを目指します。

教科横断・連携の視点

「音」をテーマにしたSTEAM教育は、以下のような教科との連携が考えられます。

一つのテーマから多様な教科の学びに繋がり、子どもたちが自分の興味に応じて深く掘り下げていく機会を提供できます。

教材・ツールの選択

「音」のSTEAM教育は、特別な高価な機材がなくても実践できます。

まとめ

「音」をテーマにしたSTEAM教育は、子どもたちが五感を使って主体的に探究し、創造的に表現する活動を通して、多角的な視点や問題解決能力、協働性を育む非常に有効なアプローチです。身近で取り組みやすく、多様な教科と連携できることから、小学校の授業にSTEAM教育を取り入れる際の魅力的なテーマの一つと言えるでしょう。この記事で紹介したアイデアを参考に、先生方の学級や学校の状況に合わせて、「音」からはじめるSTEAM教育にぜひ挑戦してみてください。